連続薄切片とPCを用いた組織細胞の形態観察法

仁木輝緒・幹 康・斎藤 進

ミキ音響イメージプロセッシング部門

日本植物学会第86回大会(2022年9月17–19日,京都)

生物・医学の研究において、3Dイメージ像の作成は組織・細胞の形態解析に有用である。連続薄切片で2次元像、3次元像の構築には、クリヤーな画像データが大量に必要である。 この目的に、かなう簡便な切片作成法(Niki et al 2019)、および2次元、3次元の像構築法(Miki et al 2020)を紹介する。

試料を、ホルマリン水溶液で固定、洗浄・脱水後テクノビット7100樹脂に包埋した。1µm連続切片を作成。切片を(RNA分解)酵素処理によって解像性、コントラストとも満足する像を得る。トルイジンブルー染色し、観察・収得画像とする。

得られた各画像の組織・細胞群等の各種処理については画像処理ソフトImageJ, GIMPを利用した.輪郭処理はImageJのツール「Find Maxima(分水嶺法)」を行い、目的とする組織・細胞群にはGIMPを利用して任意の着色を行う。また、各画像の位置合わせも行う。さらに、ImageJ を使用して組織・細胞の2D像、3D像を構築する。

ImageJのプラグイン「Volume Viewer」、「3D Viewer」による像構築では、組織・細胞の種々の角度での像、目的細胞群のつながり状態、動画等の作成・観察が可能となる。それらの実例を示す。

本研究法は高価な研究資材・装置を求めることなく、安価で簡便に構造解析が行える手法である。